ラーメン発見伝(Ramen Hakkenden) 26巻 最新刊 あらすじ・感想

小学館
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芹沢達也の冷徹な美学が頂点に達する。彼が掲げる「味」と「商売」の二律背反を、本作は容赦なく切り裂いていく。かつての情熱を金に換える者、純粋な探求心で泥水を啜る者。ラーメンという極めて限定的な小宇宙の中に、現代日本の病巣と希望を全て詰め込んだ。読めば腹が鳴り、同時に心が抉られる。これは単なるグルメ漫画の枠を超えた、魂の削り合いを描く人間賛歌であり、同時に最も残酷なビジネス指南書だ。

⚠️ ネタバレを含みます。

今巻、芹沢が相対するのは、かつての弟子を騙る甘っちょろい挑戦者ではない。もっと深く、もっと汚い「業界の闇」そのものだ。地方都市の寂れた商店街を再興させるという名目で、味よりも見栄えのいい資本投下を繰り返す怪物に対し、芹沢は徹底的な冷徹さを見せつける。彼は挑戦者が持ち込んだ「究極の鶏白湯」を一口で否定し、そのレシピが持つ致命的な原価率の矛盾を公衆の面前で突きつける。だが、真の衝撃は後半に待っている。長年、彼の下で沈黙を守ってきた右腕が、芹沢の完璧な独裁体制に初めて亀裂を入れるのだ。彼が隠し持っていたのは、芹沢さえも言語化できなかった「客の罪悪感」を味に変える背徳のテクニックだった。芹沢はそれを受け入れるのか、それとも排除するのか。店舗の利益を優先して魂を売るか、それとも破滅を覚悟で自らの舌を信じるか。最後のページ、芹沢が厨房で見せた微かな笑みには、勝利の歓喜など欠片もない。ただ、次なる戦場へ向かう怪物特有の飢えが刻まれていた。彼にとっての正義とは、常に誰かの敗北の上にしか成り立たない。この一冊には、泥に塗れてもラーメンを愛し抜く男たちの、あまりにも業の深い執念が濃縮されている。

芹沢さんのラーメンに対する執念、相変わらず尊すぎて情緒が乱される。26巻ではあのプライド高い芹沢さんがまさかの苦境に立たされる展開で、読んでいて胸が熱くなった。藤本くんとの関係性も、単なるライバルを超えた奇妙な信頼関係が見え隠れしていて……これ、実質カップリングとして成立してない?淡々と語られるラーメンの哲学の中に、二人の絆が透けて見えるのが最高にエモい。ラーメンの進化と二人の関係の変化を同時に追える贅沢さ。何度も読み返して咀嚼したくなる、まさに神巻。ごちそうさまでした。

著者河合単
出版社小学館
レーベル小学館コミックス
26巻26巻

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